2018年12月31日月曜日

2018年 ANAの重大インシデント・トラブル・不祥事など

2018年はANAグループにとってどのような年になるのでしょうか。
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【重大インシデント・航空事故】
・2018年6月6日 ANA834(ホーチミン~成田)B767-300ER(JA612A)がホーチミン空港で地上走行中にブレーキをかけたところCA5名が怪我をした。成田到着後1人が骨折と判明したためJCAB(国交省航空局)は本件を航空事故に認定し事故調査が進められる。この便はエアジャパンが運航。機長の判断で成田まで運航を継続していた。

【運航・機材トラブル】
・2018年1月26日 ANA273(羽田~福岡)B777-300(JA754A)が羽田空港離陸後、片方のエンジンに不具合が発生したため、航空管制上の優先権を要請のうえ、東京羽田空港に引き返した。

・2018年2月19日 ANA469(羽田~那覇)B777-300(JA755A)が羽田空港離陸後、片方のエンジンに不具合が発生したため、東京羽田空港に引き返した。

・2018年3月20日 ANA4881(新千歳~中標津)DHC8‐Q400 中標津空港着陸時に後輪右側のタイヤ2本がパンクした。パンクにより自走できなくなり滑走路が約2時間閉鎖され、折返し便が5時間半遅延した。

・2018年4月12日 ANA(大阪伊丹~松山)DHC8‐Q400 松山空港着後点検でエンジンのパネルが無くなっていた。飛行中に落下したようだ。次の便である松山~名古屋が欠航し66人に影響が出た。

・2018年4月中旬報道 ロールスロイス社製のB787のエンジンの不具合に伴い国土交通省航空局が耐空性改善通報が発行。ANAのB787の一部に影響がある。

・2018年5月21日 ANA809(成田~香港)B763(JA625A エアジャパン運航便)、ドアクローズ直後に客室でもや(白い煙)が発生した。6人が体調不良を訴えた。

・2018年6月23日 ANA232(ブリュッセル~成田)B788(JA823A)、ロシア上空で緊急事態になり、ヘルシンキにダイバート(緊急着陸)しました。

・2018年6月27日 ANA629(羽田~鹿児島)B763(JA8568)、紀伊半島上空で緊急事態を宣言し、関西空港にダイバート(緊急着陸)しました。与圧システムの警報が作動したようです。追記…実際に減圧していました。

・2018年6月30日 ANA558(函館~羽田)B788(JA810A)が飛行中に左エンジンの不具合が発生した。緊急事態を宣言して羽田空港に着陸した。左エンジンの部品が損傷していた。

・2018年7月4日発表 ANAのボーイング787に使用しているロールス・ロイス社製エンジン(トレント1000)の点検により、運航に必要な機材が不足する。ANAはB787を64機保有している。6日~12日の間に羽田発着の国内線113便が欠航し約2万1000人が影響を受ける。(JALのB787はゼネラルエレクトリック製なので影響なし)
 -7月9日追加分 13日~22日の国内線176便を欠航する。約3万6000人が影響を受ける。
 -7月12日追加分 23日~31日の国内線330便を欠航する。
 -7月17日追加分 8月の国内線378便を欠航。夏休み・お盆の繁忙期に打撃。 
   -8月10日追加分 9月1日~10月27日に国内線593便を欠航。国際線212便を欠航。
 まとめ:合計1800便以上欠航、約20万人に影響

・2018年8月8日 ANA20(伊丹〜羽田)B777-200(JA713A)が滑走路上で油漏れを起こし、B滑走路約3時間閉鎖。

・2018年10月2日 大阪伊丹空港のB滑走路(長い方)にANA20(伊丹~羽田)B777-200(JA706A)のタイヤのゴム片が散乱していた。このためB滑走路は30分間閉鎖され、遅延が発生した。

・2018年11月16日 ANA1763(那覇~石垣)B737-500が離陸直後に右側エンジンから異音がしたため那覇空港に引き返して欠航した。

・2018年11月24日 ANA1081(福岡~那覇)B737-500が那覇空港に着陸する際にギアダウン(右主脚)が計器上で確認できず着陸を中止した。その後緊急事態を宣言し、無事に着陸した。ギアは下りていた。けが人はいなかった。

【不祥事・コンプライアンス違反】
・2018年6月1日 全日空嘱託社員が不正取引で懲戒解雇。ANAの嘱託社員の60代男性が不正な取引を繰り返していた。

・2018年10月3日 ANA216(パリ~羽田)機内でパリ&ブリュッセル支店長(52歳男性)が酒に酔い乗客女性(50代)に怪我をさせた。この男性社員はビジネスクラスで出張中でグラスワインを6杯飲んでいた。ANAは論旨解雇処分にした。

・2018年10月25日 ANAウイングスの機長が前日の夜に石垣島で飲酒し二日酔いになったため急遽機長が交代になった。このため沖縄県内の5便が遅延し619人に影響した。
社内規定では12時間以内に飲酒した乗員の乗務は禁じられている。後日この機長は論旨解雇処分になった。泥酔している姿をホテル関係者が目撃しANAに報告していた。
また、この事案のためANAのハロウィンイベントが中止になった。

・2018年12月21日 国土交通省は飲酒問題でANAとANAウイングスに厳重注意を行い、再発防止策の報告を求めた。

【懸案事項】
・MRJの納入延期の影響でB737-500の退役・機材更新が進まない。B737-500のトラブルが目立つ。
・B787のエンジン整備・改修のための欠航による信用低下とコスト増加。
・A380を3機買ってハワイ線に投入して利益が出るのか。
・ハワイの火山活動の観光への影響が心配。
・結局スカイマークとの提携・コードシェアはどうなったのか。
・国内外のLCCとの競争激化の予感。
・ANAホールディングスの連結子会社であるピーチとバニラの統合
・AIRDO運航のコードシェア便が乗員繰りにより一部欠航。2018年2月は東京(羽田)- 札幌(新千歳)線の合計26便(13往復)が対象。機種はB767-300。
・国土交通省が検討している地域航空会社の合併・統合の動き(ANAウイングス、北海道エアシステム、天草エアライン、オリエンタルエアブリッジ、日本エアコミューター)

2018年 JALの重大インシデント・トラブル・不祥事など

2018年のJALグループはどのような道を歩むのでしょうか。
安全運航でお願いします。
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【重大インシデント・航空事故】
・2018年5月24日 JAL632(熊本~羽田)B767-300(JA8980) 熊本空港離陸時にエンジン(CF6-80C2)が発生し熊本空港に引き返し。熊本県上益城郡益城町にて、当該エンジン部品の落下物が発見された。着後点検でエンジン後方のタービン部などに損傷があることが確認され、重大インシデントに認定された。今後運輸安全委員会の調査が進められる。

・2018年6月24日 JAL514(札幌~羽田)B777-300(JA8944)宮城県上空3万フィートを飛行中に、機体が突然強く揺れて客室乗務員1人が左足を骨折し全治2ヶ月。JCABは本件を航空事故に認定した。

・2018年7月2日 JALエンジニアリング(成田空港)がB767型機のAPU(補助動力装置)を整備中に放射性物質が漏えいした。人体への影響は無いようです。
原子力規制委員会は事故報告事象に認定した。

・2018年11月13日11時50分前後(現地時間) 上海浦東空港でデルタ航空528便(デトロイト行)A350-900(N501DN)が滑走路34L離陸滑走中に、滑走路34Rに着陸後駐機場に向かっていたJAL873便(成田~上海) B787-9(JA869J)が当該滑走路に進入したため、デルタ機が緊急停止した。滑走路運用状況は34Lが離陸、34Rが着陸であったため、到着機は着陸後滑走路34Lを横断する必要があった。デルタ機は急ブレーキの影響でタイヤが破損し欠航。JAL機は中国航空局による原因調査のため13日は上海に留置された。本事案では怪我人はいない。原因は不明であるが、一歩間違えればテネリフェ空港ジャンボ機衝突事故の二の舞であったため、重大インシデントに認定される見込み。

【運航・機材トラブル】
・2018年11月21日 JAL335(羽田~福岡)が、オーバーブッキングで座席調整ができず欠航。この便はB777-200の座席数375席を上回る約400名の予約を受け付けていたが、出発前の座席調整に時間を要し、福岡空港の運用時間(門限22時)に間に合わず欠航になった。

・2018年12月19日 JAL133(羽田~伊丹)B777-200( JA8979)が着陸後にオイル漏れを。B滑走路が清掃作業のため長時間閉鎖されたため、到着便3便が関西空港にダイバートしました。(ANA2179,JAL2088,JAL3007)

【不祥事・コンプライアンス違反】
・2018年5月23日 JAL8791(ホノルル~関西空港)で男性CAが休憩中にトイレで飲酒した。(缶ビール350ml)
男性CAは「よく眠れるように飲んだ」と話した。JALは運航規定違反として(乗務開始の12時間前から運航終了まで一切の飲酒を禁止)厳正に処分するとしている。
国土交通省はJALに厳重注意し再発防止策の報告を指示した。

・2018年10月28日 JAL44(ロンドン~羽田)に乗務予定だった副操縦士から英国の法令基準を約10倍も上回るアルコールが検知され現地警察に拘束(逮捕)された。イギリスの裁判で禁錮10ヶ月の実刑判決になり懲戒免職処分になった。JALオフィスでのアルコールチェック(呼気検査)では異常がなかったらしいが…。また副操縦士が拘束後、2名乗務で運航したことについては「判断が誤っていた」とJALは認めた。

・JAL国内線パイロットの飲酒 2017年8月~2018年11月に乗務前のアルコール検査で19件の基準オーバーがあっり、交代乗員手配のため12便が遅延していた。その際の遅延理由は「乗員の体調不良」としていた。JALの社内基準は呼気1㍑中0.1mg。

・12月21日、国道交通省が飲酒問題でJALに事業改善命令

・客室乗務員が乗務中に飲酒。ホノルル行きのCAからアルコール検出。12月17日のJAL786に乗務中の女性CAからアルコールが検出された。JALの社内調査で乗務中の機内でシャンパンを飲酒した可能性が極めて高い。
→後日、このCAは機内で飲酒したことを認めました。
→→国土交通省航空局は1月11日、JALに業務改善勧告

【懸案事項】
・中長距離の新会社の創設
・国土交通省が検討している地域航空会社の合併・統合の動き(ANAウイングス、北海道エアシステム、天草エアライン、オリエンタルエアブリッジ、日本エアコミューター)