2017年4月20日木曜日

遅延理由の「航空管制指示のため出発が遅れました。」とは何か

最近の遅延理由で多い「航空管制指示のため出発が遅れました。」とは何か?

発着案内では…
「出発遅れ。航空管制指示のため出発が遅れました。遅れます。」
「出発遅延。管制の指示のため出発に遅延が生じています。」
機内アナウンスでは…
「当機は出発の準備を全て整えておりますが、航空管制からの指示で出発が遅れております。当機の出発(離陸)は○時○○分の予定です。(以下省略)」

国土交通省航空局のHP/資料などを参考に簡単にまとめてみました。

このように航空管制から出発時刻が指定されることを「航空交通流制御(Flow Control)」と言います。
交通流制御対象機には航空管制官から出発制御時刻/EDCT(Expected Departure Clearance Time)が指定されます。

EDCTが指定されると、離陸できるのは原則EDCT以降になります。
EDCTは状況に応じ適宜変更・解除されることもあるそうです。
EDCTの指定など日本国内における航空交通量制御は福岡市にある国土交通省の航空交通管理センター(ATMセンター)で行われています。

この交通流制御の目的は、適切な交通流を維持し安全性と効率を確保することです。
なぜ、交通流制御が実施されるのか。主な理由は3つあると考えられます。
1、特定の空港・空域に航空機が集中することが予想される場合。(空の渋滞)
2、特定の空港・空域が悪天候・トラブルで通常よりも処理能力が低下する場合。
3、事故、テロ、機材トラブル、停電、地震などの自然災害で空港・滑走路が閉鎖された場合。

離陸させずに地上待機させることで、次のメリットがあると思います。
・混雑による上空待機や迂回を減らし地上で待機させることで、航空会社の消費燃料を削減する。(環境にも良い)
・航空管制官のワークロードを軽減させ、安全で効率的な航空交通を確保する。

どうせ待機するなら地上で待機した方が燃料消費が抑えられて環境に優しいですね。
それに定刻に出発できたけど空域が混雑していて空中待機している間に燃料が少なくなってダイバート(目的地変更)や緊急着陸するくならいなら、多少遅れても無事に目的地に到着するほうが良いですね。

最後に交通量制御の影響で遅延が発生したらどうなるかとういうと、
このような遅延は航空会社の責任ではないため、遅延に係る航空券の取り扱いは悪天候のそれに準じるそうです。
日頃から旅程には余裕も持ち、航空管制指示が遅延理由であれば、
航空会社やグランドスタッフにあまりクレームを入れないよにしたいですね。

(追記)JALサイトにわかりやすいコラムがありました。
 https://tabi.jal.co.jp/tabicolumn/2014/08/post-657.html (空の渋滞)

例:羽田空港悪天候時の那覇~羽田の交通流制御の結果